禁域―秘密の愛―【完】
「やっぱり、そんな人だったんだ………」
一見、人懐こいようで実は誰よりも一番タチが悪い人。
「そんな男が将来、大企業の社長なの?世の中って本当に理不尽ね。腐ってるわ」
「まぁ………園屋物産の一人息子だからな………。あそこは、特に世襲制が強いって有名だろ?」
「そうだけど………。納得いかないっていうか!あーーーー、ムカつく!!その女たらしの事を大々的に週刊誌にバラして社長の座から引きずり下ろしてやりたいわよ!!」
「か、かれんちゃん………」
かれんちゃんがそう言うと、冗談に聞こえない…………。
「瞳ちゃん!でも、本当によかった!そんな男の餌食にならないで」
「そうだな…………。本当に危機一髪って所だぞ」
「………うん、そうだね。柴咲君の話を聞いてますますそう思った。ありがとう」
私は二人に笑ってそう言った。
本当に、あの時思い切って園屋さんに怒鳴って良かったと思う。
「………まぁ、もう会うことはないだろうし、きっと向こうももう私の事なんか嫌いになってると思うから………大丈夫。次にいい人探さなきゃね」
「瞳ちゃん………!そうよ!絶対に次はいい人見つかる!蓮!瞳ちゃんに優しくて一途なイケメンのお医者さん紹介してよ!」
「ああ。そうだな」