禁域―秘密の愛―【完】
「それで………、翔季はチームを自ら辞めたのよ」
「………そんな」
まさか、あの明るくてサッカーが大好きな翔季君にそんなことが起きていたなんて…………。
「………翔季、しばらく落ち込んでたわよ。いつも、元気なだけのアイツが長い間部屋から出てこないのよ。全く信じられないでしょ?…………それで」
「それで………?」
「………大阪に行くらしいの。そこに翔季の足の治療を上手くしてくれる有名な専門医がいるらしくて。
そこで治療をしながら、スポーツ健康学が学べる大学に入る勉強をするんだって。まだ何をするかは分かってないけれど、どうしてもやっぱりスポーツで食べていきたいって」
「そう………だったんだ。でも」
大阪なら距離的にはそんなに遠くない。
なぜこんなに愛ちゃんはーーーー、思いつめた顔をしてるの?
「愛ちゃん、大阪なんてそんなに遠くないよ。どうして………」
「…………翔季が、言ったのよ」
「何を………?」
「足を故障して、まるっきり自分の人生が変わったのも………悔しいけど、それまでの自分を、サッカーにばかり固執してた自分を変えて、新しい自分を見つけるいい機会だって………言ってたのよ。そして、あたしのことも」
「え………?」
「……あたしのことも、同時に諦めて違う人を見つけるから、安心しろよって」