禁域―秘密の愛―【完】
「綾瀬、おはよう」
「あっ!お、おはようっ」
いつの間に来たのか、桐谷君が隣にいた。
良かった………。
かろうじて、桐谷君から机の中を見られなかった。
「何かあったか? そんなに驚いた顔して?」
桐谷君は、そう言って笑った………けれど。
………言えない。
桐谷君には、言えない………。
視線を感じたから。
桐谷君と私を………、クラスの何人かの女子生徒が睨み付けながら見ている。
桐谷君と私が、話すのが気にくわないんだ。
桐谷君は女子生徒に大人気だ。
実家は大企業で、頭も良くてスポーツも出来る。
………そして、こんなにもカッコいい。
本来なら私なんて、絶対に関われない人。だから、桐谷君と私のことを気にくわないと思う人達がいても当然だ。
「な、何でもないよ………」
私は、桐谷君を誤魔化したく思い、笑いながらそう言った。
余計な心配をかけたくない。
私なんかのために………、桐谷君や愛ちゃんまで巻き込む必要はない。