禁域―秘密の愛―【完】
「………本当、どうした?」
「えっ………」
けれど、愛ちゃんと同じく桐谷君も結構鋭く、私は言葉を失った。
「なんか変だぞ、綾瀬」
そう言って桐谷君は、段々と私に近付いてくる。
いけない、このままじゃ机の中がバレちゃうっ………!
「っ、本当に何でもないから!近寄らないで!お願い」
思わず、発してしまった言葉。
“近寄らないで”
その直後に、彼のどこか驚いたような、けれど、悲しそうな顔を見てしまったと思った。
「………ゴメン。俺が花壇の前であんなことしたから。 迷惑………だったよな」
「っ! 違っ………!」
それは、違うのに。
桐谷君に抱きしめられた時、凄く嬉しかった………。
けれど、そんなことは言えない。
多くの突き刺さるような視線の中では、桐谷君が好きなんて………、抱きしめられて嬉しかったなんて言えない。
こんなに地味で、何の取り柄もない私が桐谷君の傍にいることを全否定されているようだからーーー。