禁域―秘密の愛―【完】
「………悪かった。もう………、近付かないから安心しろよ」
「………っ!」
どこか悲しげに微笑んだ桐谷君を見て胸がこれでもかと酷く痛む。
私がそんな顔をさせてしまったんだ………。
違うと言いたかった。けれど、声がでなかった。
桐谷君にとって、私は傍に居ていい存在なのか分からない。
あまりにも距離がありすぎて………。
「ごめんなさい、桐谷君………」
今にも泣き出しそうな自分を抑えるようにして、桐谷君に顔が見えないよう、私は立ち上がると教室を飛びだした。
「ーーーいい気味」
「ホント、ホント。これ以上、桐谷君に近寄らないでほしいんだけど」
「地味子のくせに、あの桐谷君に付きまとうなんて有り得ないから」
教室から出る時、睨みをきかせていたクラスの女子生徒が、私にだけ聞こえるようにそう言ってきた。
彼女らは特別進学科の中でも、とりわけ美人で文武両道。
なので、学校中から憧れの眼差しを受けている人達だ。まるで、桐谷君のように。
………そうだよね。
私なんかより、この子達の方が桐谷君にお似合いだ。
私………、何を自惚れてたんだろう?