禁域―秘密の愛―【完】
「ありがとう」
『いえいえ。そういえば、愛ちゃんには伝えたの?』
「愛ちゃん……….」
実は、かれんちゃんに連絡する前に一度愛ちゃんの携帯に電話を入れた。けれど、途中で思い出したんだ。
「愛ちゃんは今、電話に出ないと思う。………大阪に行ってるから」
そう。陽君を追いかけて。自分の気持ちをきちんと伝えるために…………幸せになるために愛ちゃんも動き出したんだ。
『え、そうなの?何か用事?』
「うん、とっても大切な、ね。帰ってきたらかれんちゃんにも話すと思うよ?」
『うっわ、なんか意味深〜。でも楽しみにしとこうかな!』
「ふふっ」
愛ちゃんの恋も………実るといいな。なんだかんだで、高校生の時からだもんね、あの二人。
『でも、本当に安心したの。瞳ちゃんにちゃんと彼氏ができて』
「うん…………。本当に色々、不安にさせたよね」
巧のことで悩み、苦しみ、泣き続けたこの数年……………。それを思い出すとキリがない。