禁域―秘密の愛―【完】


『桐谷君を………良い思い出にできそう?』

「…………うん。きっと」

巧と付き合ってから知った、恋の痛み。

巧を愛すれば愛するほど…………私達は周りに蝕まれ、傷付いていった。



………私達の想いは、禁じられた想いだった。想い合うことは決して許されなかった。



だけどその分、私は巧といて幸せだった。巧は精一杯私を不器用ながらも愛してくれた。

そして、私も…………彼を心の底から愛していた。

だからこそ、ずっとずっと巧のことを引きずっていた。…………別れてからも好きで好きでたまらなかった。

でも、今はもう大丈夫なんだ。
隣に優斗がいる限り私は、巧を良い思い出にできるーーーー。


きっと、二度とと会うことはないけれど…………私は、あんなに愛した巧を絶対に忘れはしない。

巧も、忘れさせないと…………言ったから。

『よしっ、よかった。じゃあ今度、そのお坊ちゃん…………園屋 優斗さん!きちんと紹介してね?私達に』

「うん!近い内、紹介するね。優斗にも聞いてみる」

『はーーーい』

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