禁域―秘密の愛―【完】
「いや、良いんだ。分かってくれたら。とりあえず、風邪が治るまで俺が看病するから」
「でも………仕事は?」
私のせいで優斗の仕事に支障がでてしまっては、どうしようもない。
「俺を誰だと思ってる?」
そう言うと優斗は私の頭を撫で笑った。
「園屋物産の社長息子だ。大切な彼女の危機の為なら………仕事を休むことはどうってことない。会社が俺に合わせるんだから。どうしてもという時があれば出勤するけど」
「そっか………」
それでも、11月まではゆっくり会う時間がないと言っていたからかなり忙しいと思うのに…………。
それでも、看病をしてくれるという優斗の優しさに胸があたたかくなる。
「だから何も気にするなよ。じゃあ、今から冷えピタとってくる。それと何か食べるものも」
そう言うと優斗は、部屋を出て行こうとする。
やっぱり………その姿はさっき見た、男性のものでない。
「ゆ、………優斗っ」
あれは夢かとも思った。
だけど…………、なぜか聞いてみようと思い私はドアに手をかけた優斗の後ろ姿に呼びかけた。