禁域―秘密の愛―【完】


「……っ、ありがとう………」

私は………優斗に嘘をついている。なのに、こんな風に"ありがとう"だなんて言える。



ーーーー巧との恋を守るためなら、無意識ながらも何でもする自分の残酷さに嫌気が差す……。



『本当にごめんな?こんなに朝早くから………』

「っ、ううん………。それは、別に構わないの………。何かあったの?」

さっきの事といい、今日の優斗はどこか心に余裕が無いようだった。きっと………何かあったんだ。

『………瞳にならいいよな。…………実は、会社で最近興したフランス産の有名ブランドのチーズ販売に関する新規の事業があるんだがその現地での取引や、仕入れやらがトラブル続きで難航してるんだ。結構、メインの事業になってきていて責任者は俺だったから………まぁ、精神的にキツくなってきてたんだろうな」

「そうだったの………」

食品関係では三好製菓と並ぶ程の大企業である園屋物産も、色々大変なんだよね………。

滅多に弱音を吐かない優斗だから、今回はよっぽど堪えたんだ。
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