禁域―秘密の愛―【完】
優斗からの電話の後、少しだけ落ち着きを取り戻した私を巧は助手席に乗せると展望台を離れ、取り敢えず私のアパートへ向かう事になった。
「ほら、瞳。サンドウィッチ買ってきた。腹が減っただろ?」
近くのコンビニに寄って朝ご飯を買ってきてくれた巧。
巧は展望台を離れてから優斗のことは聞いてこない。その優しさが胸にしみた。
「ごめんね………巧」
「………気にするな。言いたい時に話せば良い」
「うん………」
アパートに帰ったら………優斗の事を話さなきゃ。それまでに気持ちを落ち着かせなきゃ。巧にいつまでも気を遣わせてはいけない。
そう私は決心したーーーー
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そして、午前10時過ぎに私のアパートへ着いた。巧は私の体調を気にしてすぐに帰ると言ったけれど、私はそれを断り巧を自分の部屋に招いた。
「………瞳、本当に大丈夫か?」
「っ、うん………大丈夫。今なら、話せるから……」
そして、私はさっきの優斗とのやり取りを全て話した。
優斗が手掛けた事業の立ち行きが怪しいこと。優斗のご両親が投げかけた残酷な言葉。
そして………優斗の家族と会うかもしれないこと。
何よりも……痛いほど伝わってきた彼の想いを。