禁域―秘密の愛―【完】


「…………優斗さんが、そんな事を」

全てを話し終えた後………巧はただ、そう言うだけだった。

「どうしたらいいか、分からなくなったの………」

私自身のものは何を失ってもいいと思った。優しい恋人に、仕事、そして平凡な日常ーーーー、今、私の持つもの全て。

それで巧と一緒にいられるのなら。

だけど、巧との恋の為に誰かの心を犠牲にすることが………こんなにも苦しい。

「ごめん………なさい。本当に……ごめんなさい………」


こんなにも弱い私ーーーー

巧を愛しているといいながら、自分の弱さのせいで優斗も離せない私なんて………

「呆れた………よね………」

そう私が言った途端、巧は黙り込んだ。

やっぱり………呆れたよね。こんな中途半端な状態を、真面目な巧が許すはずがない。

「………瞳」


その時だった

「………っ、んっ……!」

物凄い勢いで、巧の元へ引っ張られた私は………唇を奪われた。


至近距離で………合う、目線。



「ーーーッ!!」

………それだけでこんなにも心が動く。


奪われるーーーー





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