禁域―秘密の愛―【完】


「俺が良いって言ってるんだ………。
それ以外に流されるな。これから何があっても、俺がいる。
綾瀬が傍にいてくれるなら、俺はお前を守り続ける。
だから………、傍にいてくれ」

「………!」

どうしよう………。

そんな事を言われたら、また涙がでてきちゃうよ。

それくらいその言葉は、私にとって、桐谷君の傍にいるための力強い支えで、嬉しいものだった。

「それでも嫌か?………綾瀬?」

「っ、ううんっ………」

私は嬉しい気持ちを表現しようと、精一杯、桐谷君を抱きしめ返す。

「私………、桐谷君の傍にいる。ずっとずっといる………!」



あなたが、それを望むなら。


私も、それを望むならーーー。


他に何があっても、大丈夫。

桐谷君の力強い腕が、言葉が、それを証明してくれた………。




ーーー桐谷 巧。


私の初恋の人ーーー。


この時は、この先、どんなことがあっても2人の気持ちが同じなら全て上手くいくと信じていた。

まだ………、幼い私達。

無垢で、何も知らなくて。

この先、何が待ち受けているかなんて想像もしない。

ーーーだけど、1つだけ。

何も知らないからこそ、あの時の私達は、精一杯自分達の想いに素直になれたんだ。


今は………もう、叶わない。


あなたの傍にいることも


………素直に愛することも。



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