禁域―秘密の愛―【完】
啓史さんは、巧を睨みつけた。
………初めて彼がその正体を現した瞬間だった。
「………だから、さ。あまりにも腹が立つから………奪わせてもらうよ。巧の………最も大切なもの。お前が桐谷家の後継者という肩書きを差し置いてでも離したくないものを」
そう言って…………啓史さんが見据えたのは私ーーーー。
「巧、昔から君の最も手放したくないもの………それは、綾瀬 瞳という女」
「…………!!」
「ーーーーそうだろ?」
「………っ!アンタ………!」
私は、この啓史さんの言葉を聞いた瞬間、目眩がしたーーー。
そして………もう逃げられないのだと思った…………。
あなたを恨む影。
影が牙を向くーーーー。
ただ、自分の復讐の為に。
そして、それは………あなたとの別れにきっと繋がるーーーー。
「や………だ………」
どうして………?
せっかく………また、会えたのに。巧と気持ちが通じあったのに。
運命の人だと、思ったのに………
そんな事って…………あるの?
運命の人でも、結ばれないなんてーーーー。