禁域―秘密の愛―【完】
優斗は怒りを露わにした血走った目で私を見つめ、私の腕を引っ張り出した。
「ゆ、優斗っ………やっ………」
「ーーーー止めろ」
けれど、巧が………直ぐ様、優斗の手首を掴んだ。
「はぁ!?止めろだって!? 桐谷!!貴様一体誰に向かってそんな生意気な口を叩いてる!?俺は瞳の婚約者だ!桜庭家の援助で自分の会社を立て直した貴様が偉そうにーーーー」
「………あなたは、俺に確かにこう言った」
「………何だと?」
「アテラ社と、新エネルギーの使用及び共同開発について俺の名前で契約できれば………瞳を手離すと」
「ハッ!それがどうした!? 貴様がアテラ社と交渉段階にまで至る訳が無いだろう! そんな無謀な事を言った時点で少しは察しろよ!!お前が瞳を手にする事は二度とないとな!!」
優斗が、怒鳴り散らしながら巧にそう言う。
………その瞬間、巧の顔色が変わった。
「…………俺は、瞳を二度と離さない!例え、優斗さん………アンタがどんなにアテラ社との交渉過程で邪魔をしてこようと俺は必ず新エネルギーについての契約を結んでくる。 俺の今まで培ってきた能力を全開に使う。優斗さん、アンタなら分かるだろ? 俺のビジネスマンとしてのあり過ぎる程の才覚。そして、その俺を本気にさせたら………どうなるか」