禁域―秘密の愛―【完】
巧は優斗を睨みつけながらそう言った。その言葉と表情に優斗の顔色も変わり、黙り込む。
巧の言う事は決して大袈裟では無かった。 巧は倒産寸前だった桐谷商事を若干25歳の若さで立て直し、全盛期の頃と同じくらいの売り上げを上げた。
そして、桜庭家の事業にも時折、助言を入れていた巧の事を評価していた優斗が一番その事を分かってるはずだ。
「…………俺は、必ずアテラ社と契約を結んできます。………優斗さんには、本当に悪い事をしたと思っています。 あなたは大切な人をトコトン大切に思う人だから。 その名の通り………優しさに溢れてる人だから。俺はあなたをとても好いてます」
「ッ、ならばどうしてーーーー」
その時、優斗は巧の肩を掴んだ。
「…………!巧っ………!」
これでもかと言う程、優斗の指先が巧の肩に食い込んで折れそうに見えた。そして、優斗の目は依然として巧を血走った目で睨みつけており、今にも優斗が巧に殴りかかりそうな雰囲気だった。
このままじゃ、優斗が巧に危害を加えてしまう………!
「ッ、やめてっ…………」
「ーーーー瞳は来るな!!!」
「ーーーー!?」
しかし、巧は今度はそう私に怒鳴りつけてきた。