禁域―秘密の愛―【完】
「お願いだ………、巧君。瞳を、瞳を………俺に返してくれ。 俺には、瞳しかいないんだ………。瞳がいなくなったら俺はまた一人になる………」
そう言うと、優斗は巧の手首を握りしめたままその場に膝をついた。
「ッ、優斗………っ」
そんな事はない。 ーーーー優斗は、一人なんかじゃない。
私がそう言おうとした時だった。
「…………8年」
「…………え?」
「俺は………8年の間ずっと。…………瞳が好きだった」
不意に、巧は優斗にそう言った。
「8年…………?だが、君はその間ずっと朝香と…………」
「…………優斗君、違うわ!」
「…………!!」
その時、また現れたのが朝香さんと愛ちゃんだった。 それに………かれんちゃんもいる。
「皆………!」
皆、息を切らして………ここまで急いで駆け付けてくれたんだ。
「ごめんね、瞳さん。優斗君を………最後まで止める事が出来なかった」
「ッ、そんな事………」
「朝香!違うって何だ!? 朝香は巧君と8年間付き合ってただろ!? それを違うとは、お前まで何考えてーーーー」
「…………形だけよ。優斗君」
そう言うと、朝香さんは優斗に悲しげに微笑んだ………。