禁域―秘密の愛―【完】
「………ごめんね、優斗君。あたし、優斗君に嘘をついていたわ」
「………どういう事だ?」
「………高校生の時、巧と恋人になり始めた時。あたしは、優斗君に馴れ初めを話したわね」
「そうだ。朝香が巧君に告白をして、巧君もそれを家の事は関係なく受け入れたと………」
「…………違うの、本当は。 その頃、巧には………恋人がいたの。誰とはその頃分からなかったけれど………それが瞳さんだったの。だけど、あたしは………どうしても巧が欲しくて、桐谷商事への金銭援助をする代わりに巧に交際を申し込んだわ。もし、巧が断るなら………お爺様に頼んで、桐谷商事を倒産させるつもりだった」
「なっ…………!?」
優斗は、開いた口が塞がらないとでも言ったように目を丸くして朝香さんを見ていた。
「…………でも!! 巧は、それでも私との交際を頑なに断り続けていたわ………。 何でかわかるでしょ?優斗君………」