禁域―秘密の愛―【完】
巧のその挑発的な言葉に、桐谷 光はその表情をますます歪めた。
「………どういう意味だ?」
「分からないのか? そのままの意味だよ、父さん。 …………俺がいなければ、アンタはとうの昔にダメになってた」
「ッ、 何を生意気なーーーー!」
「俺は可笑しな事を言っているつもりはない。 父さん、紛れも無いアンタだっただろう? 破産寸前だった桐谷商事の再建の為に、ただの愛人の子でしかなかった俺を受け入れたのは。 そして、俺は見事、桐谷商事を全盛期の状態にまで立て直した。………つまりだ」
「…………ッ、お前は何を………」
「俺の頭脳とビジネスマンとしての才覚が無ければ………アンタの会社はとっくに破産していて、 アンタ自身も無一文になってた、って事だよ。 今、アンタが桐谷商事の社長としていられるのはーーーー、この俺のおかげだよ」
「な…………」
桐谷 光は、あいた口が塞がらないとでも言いたげな表情で巧を見ていた。 けれど………、何も言い返す事ができるはずが無かった。
巧が今、言ったことは全て事実で一つも嘘や偽りなどはないのだから。
「…………瞳、 悪かったな。 一度、手を離してしまって」
放心状態の桐谷 光を横目に巧は私に手を優しく差伸べる。