禁域―秘密の愛―【完】
「………もう離さない、絶対に」
巧は強い眼差しで私を見つめ柔らかく微笑むと、桐谷 光をの方をもう一度振り向いた。
「父さん。 さっき、アンタは俺に"自分の得になる女"と付き合えと………そう言ったな」
「………今度は何を言うつもりだ」
「"自分の得になる女" ーーーーそれは、俺にとっての綾瀬 瞳だ。隣に瞳がいれば、俺はどんな事でもやれる。それは勿論、桐谷商事のこともだ。 瞳の傍にいられるのなら俺はどこまででも会社を発展させていく。 ………それで、瞳と一緒にいられるのなら。 俺の行動、そして、心の有り様………その源は瞳だ」
「お前は…………」
「つまり、これからの桐谷商事の利益はどこからなるのかーーーー、 それは、瞳がこの俺の隣にいるかどうかだよ」
巧のその言葉は再び握られた手と同様、どこまでも力強い。 そして同時に巧の深い愛情を感じ、私の目には涙がこぼれ落ち続けた。
そして、私も桐谷 光に自然と頭を下げていた。
「…………お願いします。 巧と、どうか一緒にいさせてください。 その為なら、私もなんでもしますから………お願いします」