禁域―秘密の愛―【完】
「………決まったようだな」
桐谷 光は私達を交互に見つめそう言った。
「はい。 私は………料理で私の才能をお見せ致します」
「そうか。 綾瀬 瞳がいかほどのものか見せてもらおう。 今日から早速、語学のテキストや経済学の本を配達させるからまずそれをこなすように」
「………はい」
「………では、私はこれで失礼する」
そう言うと、桐谷 光は居間を後にした。まるで、何事も無かったかのように………。
「よ、か………った」
桐谷 光が出て行った後、私は一気に力が抜け、その場に座り込んだ。
余程、緊張していたんだ………。
「瞳……… 大丈夫か?」
「う、うん………。 で、でも良かった………。これから大変だけど………だけど………っ」
課題さえクリアすれば、巧とのことを認めてもらえる。そうなればずっと巧と一緒にいられる………。
「巧と一緒にいられるまで………もう少しだって思えば………私、何でも頑張れるよ」
「あぁ………俺もだよ」
そう言って、巧も膝を床に付くと私をふわりと抱きしめた。
「ありがとう………。 真っ直ぐに、俺の父と向き合ってくれて………ありがとう」