禁域―秘密の愛―【完】
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三人がそれぞれの言葉を残した後、 巧と私は二人きりになり、巧の部屋へと向かった。巧を まだ飛行機の時間まで少しだけある………だけど、もうすぐ巧の事を送る運転手の方が来る。
その時まで…………一緒にいたい。
「わぁ………、何も変わってないね」
巧の部屋に入るとそれは高校生の時と全く同じだった。
「まぁな………。 アメリカに行ってからは殆ど実家には帰って無かったからな」
「そうだよね………」
前、巧にここに連れられてきた時は藤咲君との事ですれ違いがあり、巧の心が見えなかった。
そして、初めて"好き"という気持ちだけでは愛しい人と一緒にはいれないんだということを知った場所………。
けれど今は………
「………夢みたい」
私はそう言うと、巧の腕を自分の腕に絡ませた。
「 ………何が夢だって?」
「ん?だって………ここは、初めて巧と一緒にいられないって知って………とても苦しかった場所だから。 だから、今こうして………巧と一緒にいられる事が夢みたいだなって」