禁域―秘密の愛―【完】
「………そうか。 君がそう言うのなら………私もそれに従うしかないな。 行きなさい、空港に」
桐谷さんはそれだけを告げると、静かに電話を切った。
「………行かなきゃ、空港………っ、きゃっ」
「ちょ、瞳っ………、 立ちくらむなんて」
「大丈夫、だい、じょ…………っ………」
桐谷 光と話をした後、急激に押し寄せてきたのは………今までコンテストの為に準備をかけてきた時間に伴ったとてつもない疲労感の為の立ちくらみと
「巧………、お願い。 どこにも行かないで………」
巧の生に対する途方も無い執着心だった。
巧と一緒にいる
それが願いのはずだったのに…………
「………桐谷君に、何かあったのね? それで瞳は今………桐谷君の事を………救おうとしているのね? 例え………彼と一緒にいられなくても………?」
「っ、元々………コンテストで優勝することが巧と一緒にいられる条件だったから………それに参加しないとなれば当然………」
「瞳っ…………」
愛ちゃんは私が言い終わるのを待たないまま私を抱きしめた。
「何で………そんな事が………、起こるのよ? ここ数年一体、瞳は何のためにっ………。 どうしてなの………? こんなにこんなに優しい子から、好きな人を奪うのよ………?」
そして………愛ちゃんの涙が私の頰に落ちた。
その涙は…………愛ちゃんの私を思う気持ちが溢れたとても、とても柔らかく温かな涙だった………。