禁域―秘密の愛―【完】


「だ、だって………」

巧が料理できるなんて、本当に信じられず私はその先の言葉を失った。

「勿論、簡単なものしか作れないけどな。………まぁ、座っといてくれ。 朝食持ってくるから。 紅茶がいいか?ミルクはいるよな?」

「う、うんっ」

そう言うと、巧はすぐに朝食を持ってきてくれた。そして巧も私の向かいに腰を下ろした。

「………わぁ」

改めて間近で見ると、巧が作ってくれた朝食はとても美味しそうだ。
確かに、簡単なものしか作っていない。

だけど………この穏やかな日差しの中、巧が作ってくれた朝食で彼と過ごすーーーーそんな今がとても、幸福だと思えた。

「………良いのかな?」

そして、不意に口から出たのはその言葉だった。

「ーーーー何が?」

「こんな穏やかな晴天の中で………巧が作った朝食で、巧とゆっくり朝を過ごせる。 ………こんな贅沢があっていいのかなって」

私がそう微笑んで言うと……….巧は、私の手をそっと握り包み込んだ。

「………だからだよ」

「え?」

「だから今日………朝食を作ったんだ。 瞳に………これからは、俺と何度もこういう朝を過ごす事ができるって、信じて欲しくて。 もう何も………心配する事は無いんだと」


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