禁域―秘密の愛―【完】
「今までは、どんなにお前を求めた後の朝でも………こんな穏やかな気持ちでゆっくり時間を過ごせなかったから」
そう巧に切ない声で言われ………私は思い出していた。
今までどんなに愛し合った後でも………朝はどこか胸が痛く、その幸せに浸る時間などどこにも無かった。
いつも、許されなかった恋だったから。
いつも、私達は愛し合う度に禁域に足を踏み入れていたから。
でも、これからは違うんだ。
巧とこの場所から私は何度でも何度でも幸せな朝を迎える事ができる。
何度でも………巧を愛してもいいんだ、って実感できるんだ………。
「………巧、巧っ」
私は、その嬉しさに耐えきれず椅子から離れ、巧に抱きついた。
「………ありがとう。 本当にありがとう………。 最高の朝だよ………」
「瞳………」
巧も、それに対して柔らかな声で私の名前を呼ぶと抱きしめ返してくれた。
そして私の耳元でこう言ったんだ………。
「………今日、一緒に行って欲しいところがあるんだ」
「え………?」
「俺達が始まった場所ーーーー、 桐生高校の休憩所だ。 そこまで散歩をしよう」