禁域―秘密の愛―【完】
「とぼけないで下さい。………俺が、 瞳に今日プロポーズをすることを事前に告げていたのは………優斗さん。 あなただけだ」
「えっ………!?」
またもや明かされた真実に開いた口が塞がらない。
いつのまに巧は優斗に会っていたのだろう………。
「………やれやれ。 そうだったんだ?それは誤算だったなぁ。 絶対、誰がこのサプライズを仕掛けたかバレないと思ったんだけどね」
優斗はそれでも依然として、わざとらしくそう巧に笑いながら言う。
そして、優斗はそのまま………私に近付いてきた。
「優、斗………」
「………結婚、おめでとう。 瞳」
優斗は私の頭をそう言ってそっと撫でた。
「っ、ありがとう………優斗」
優斗の顔を見た途端、私は彼との温かな日々を思い出してしまい不意にまた泣きそうになった。
私の事をいつも深く愛してくれた………優斗。 巧がいなければ、間違いなくずっと一緒にいたであろう人。
「…………ッ」
そんな彼からお祝いの言葉を貰い、様々な感情が溢れ心の中で整理できない。
「おいおい。 このおめでたい日に………そんな泣きそうな顔をするなよ」
「だって………!」
優斗は呆れたようにそう言って笑うけど、コントロール出来ないものは仕方がない。