禁域―秘密の愛―【完】
「………そんな涙が出そうな瞳に良い話がある。 巧君が、俺の所に来た日の事、詳しく教えてあげよう」
「えっ………!」
「ちょ、優斗さん。 それはーーーー」
「何だよ、巧君。 こんな公の前でプロポーズしといて今更、羞恥心も何もないだろ?」
「いや、それはアンタがこの人達を集めてーーーー」
「俺から瞳を奪った仕返しだよ。 それくらいさせても、罰当たんないでしょ」
「なっ………」
まだ、何か言いたげな巧を完全に無視し、優斗は巧との事の経緯を話してくれた。
ーーーーーー
それは、私がコンテストに出場する数日前。
"優斗さん、ご無沙汰しております。 桐谷 巧です。 先日、ブラジルから帰国をする事ができました。
お忙しい中で申し訳ないですが………お話致したい事がありますので瞳のコンテストの前の日にお会いする事はできませんか? お返事を待っています。では失礼します"
優斗の携帯に入っていたのは、巧からの留守電だった。
そして、2人は………優斗行きつけの洋風居酒屋で3年ぶりに顔を合わせる事になった。
それが、コンテストの一日前の話。
『巧君! 待たせた?久しぶりだね』
『いえ。ご無沙汰しております。 優斗さん』
そう言って挨拶を交わすと2人は居酒屋に入っていったそうだ。