禁域―秘密の愛―【完】
「………アテラ社の一連の事は桐谷商事の人間から聞いたよ。 まさか、 ルイスのところにでなく社長の元に直接出向くなんてね………。 君も、無茶をするもんだ。 下手したら、死に急ぐことをするなんて」
「その方が、話がつくのが早いと思ったものですから………」
「………自らに危険を伴わいながらも良い結果だけをとことん追求する。………君らしいな。 それも………君の瞳を想うがゆえの話か」
優斗がそこまで言って、フと笑うと巧は優斗の目をスッと見据えたそうだ。
「………どうした? 急に真剣な顔になって」
「その事で………お話があります。 どうしても、俺はあなたに言わなければならない事がある」
「何だ?」
「優斗さん………。 俺は、あなたの大切な恋人を奪った。俺は、瞳の事を深く想っていたから………。けれど、俺は同時にイヤというほどわかっていました。
優斗さんの初めて愛した相手が瞳で………あなたがその先の人生を賭けて瞳を愛するつもりでいた事を。 あなたにとって瞳は最初で最後の相手だったと」
そこまで、巧が言い切ると優斗は少し目を見開いた。
「………驚いた。 そこまで気付いてたんだ」
「えぇ。 なのに、俺は………自分の想いを抑えきれず、あなたに残酷な仕打ちをしました。 ーーーー本当に申し訳無かったと心から思っています………」
そして、巧は向かいあってた優斗の席まで来ると深く頭を下げたそうだ………。