禁域―秘密の愛―【完】


「おめでとう! 瞳ちゃん、桐谷君」

「おめでとう。綾瀬、桐谷」

「かれんちゃんに藤咲君………二人ともありがとう」

「ありがとう」

次に私達の元に来てくれたのは、 かれんちゃんと藤咲君だった。

「かれんちゃん………お腹大きくなってるね」

「ふふっ、そうなの。 時々、 お腹の子が動くのが分かるの。 ………本当に信じられない気分よ。あんなに身体が弱くて、 入院ばかりしてた私が………好きな人との新しい命を宿しているなんて。 奇跡みたいだわ」

そう言って、 天使のように優しい笑みでお腹を撫でるとかれんちゃんは話を続けた。

「本当にありがとう………瞳ちゃんに、桐谷君。 蓮が私にとって一番大切な人だと気付かせてくれたのは、間違い無くあなた達よ」

「あぁ………。 俺からも礼を言う。俺達が間違いを侵したあの日………綾瀬と桐谷が俺の背中を押してくれた。 かれんと正面から向き合い支えていきたいと言う勇気を持てた。 だから、俺達の今があるんだ。 本当にありがとう」

「かれんちゃん………、藤咲君」

穏やかにそう言う、かれんちゃん達を見て………改めて高校の時かれんちゃん達と向き合えて本当に良かったと思った。

傷付けられた事もあった。 だけど………最後には、こうして大切な親友になれ、お互い大切な人を今こうして大切にできているのだから。

「かれんちゃん………。 藤咲君。 幸せにね?」

「柴咲に藤咲。お互い………これからも、それぞれの相手を大切にしていこう」

私達がそう言うと、かれんちゃん達も微笑み返したーーーー。
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