禁域―秘密の愛―【完】
「瞳ちゃん、 巧」
そして、車椅子に乗った巧のおばあちゃんがふわりとした笑顔を浮かべこちらへ向かってきた。
高校生の時に駅で、 荷物を運ぶのを手伝ってからずっと巧と私の事を応援してくれたおばあちゃん。
その穏やかな笑顔とは裏腹に、 ずっと巧が巧らしくいられるようあらゆるものから守ってくれた………強い人。
「おばあちゃん………私達、やったよ。 ずっと一緒にいられるんだよ………」
そんなおばあちゃんが、その瞳をうるませながら微笑んでいるのを見て………本当に最後まで、巧と一緒にいることを諦めなくて良かったと思った。
「あぁ。 ワシはずっと信じていたよ………。 本当にありがとう。 孫のこんなに幸せそうな姿を見れて、ワシは幸せじゃ」
「あぁ。………まだまだ、瞳と俺が幸せそうな姿を見せるから、ばあちゃんもどんどん長生きしてくれ。 というか、アンタの孫としてそうじゃないと困る」
「そうじゃのう………。 可愛い孫がそう言うならまだまだワシも生きなきゃいかんの。 ワシのひ孫を見るまで!アッハッハッ」
そう言って、おばあちゃんは豪快に笑った。
「ひ孫と言わず、その次までずっと見ていてほしいです」
「あぁ。 そうだな。 頼んだぞ、ばあちゃん」
私達がそう念押しすると、おばあちゃんはまた嬉しそうに顔を綻ばせ"どうすれば200歳ごろまで生きれるかのぅ………"と呟いた。
本当に、それくらいおばあちゃんには長生きして欲しい。そして、ずっと私達が、生きていて良かったと彼女が思えるほどの幸せを与えたいと………思った。