禁域―秘密の愛―【完】

「啓史さん………」

「………まぁ、 あの人らしい祝い方だな」

「………だね? 貧乏飯作って待っとかなきゃ」

そう言うと私達は笑いあった。
最後まで、憎まれ口しか無かったけれど啓史さんの祝福の言葉は確かに巧と私の胸に伝わった。


そして………最後に私達の元に来たのは

「………本日は、おめでとう。 二人共」

「桐谷さん………」

「……….父さん」

桐谷 光だったーーーー。

「綾瀬君。 桐谷家の嫁として来るからには、この先沢山の試練も待っている。 社交マナーに、教養に、 ビジネス。 休んでいるヒマはないからな」

「重々、承知しています」

「………そうか。それと、 君達に一つ言いたい事がある。ーーーー特に、巧。お前にだ」

「え?」

「………俺に?」

一体、何を桐谷 光が言おうとしているのか分からず巧と私は首を傾げた。

「お前の母の墓に………行ってきた。 今日、お前がプロポーズをするという報告と………長い間、苦しめてすまなかったと。 愛する男いたかっただろうに、離してしまい申し訳なかったと」

桐谷 光は唇を噛み締めながら、 どこか苦しげな表情を浮かべそう言った。

「母さんに………アンタがそんな事を………?」

一方の巧は………、桐谷 光からでたその事実に信じられないとでも言いたげに次の言葉を失っていた。

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