ディスオーダー【短編集】
「さあさあ、タイチくんは部屋に戻りましょ?検査の時間よ」

「でも、欲しい。ちょうだい」


 しつこく『おねだり』をしていたら、大川さんは渋々といった感じで言った。「しょうがないわねぇ。今度石井先生に1日だけ借りてもらえるよう言ってあげるわ」


 石井先生?

 ああ、デブのことか。

 あのブタには興味ない。


「大川さん」

「大川先生と呼びな……さ――」


 力任せにその場に押し倒す。

 誰もいない廊下に、大川さんの頭がぶつかった音が響いた。

 「いったぁ……っ!急に危ないでしょ?!怪我したらどうするの!」


 怪我、してなかったんだ。

 とんだ石頭だね。すごいや。
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