ディスオーダー【短編集】
 頭を押さえる大川さんのおでこを標的に、隠し持っていた包丁を突き刺した。


「大川さん」


 ぐちゃっ。

 これならさすがに怪我、するでしょう?


「1日だけなんて嫌だ」


 っちゃ。

 大川さんの中身、取り出せるでしょう?


「借りるなんてもっと嫌だ」


 ぐちっ。

 そうしたら大川さんの中にある“アレ”も取り出せるでしょう?


「僕は欲しいの」


 ぬちゃっ。

 僕にはないから。


「真っ黒なテレビ画面に映る」

 っぬちゃ!

 僕の中にはないから。


「あなたの、」


 グチャッ。

 その――。


「――純粋な心が」


END.
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