ディスオーダー【短編集】

 今日も僕は空気だ。

 1番背が高くて、目立つはずの僕が、空気だ。

 僕が自分を傷付けて、真っ赤に染まれば、みんな僕を見てくれるだろうか。

 ああ、でも。

 母さんは激怒するだろうな。


「こいつマジで使わねぇよなぁ」

「なんのためにいるんだろ」


 家族以外のみんなもそう言う。

 そんなの、僕が知りたいよ。


「いい?!自分を傷付けようだなんて思わないで!私より目立つなんて許さないし、赤色は私だけで十分なの!」


 緑兄ちゃんに桃姉ちゃん。

 赤母さんに青父さん。


 そして、白の僕。


 色鉛筆の僕たち家族。


 今日も僕は、ヒトリキリ。


END.
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