ディスオーダー【短編集】

 もういいですか?

 僕は忙しいので、──いえ、忙しくなる(・・)ので、そろそろおいとましたいのですけれど。

 ……いえ、気になさらないでください。

 大丈夫です、謝らないでください。



 それでは──。

 死んでください。



 時々いるんですよね。

 どこからか噂を聞きつけて、本当に死体が降ってくるのかを実際に確かめにくる、あなたのような人が。

 正直、それに関しては困るんですよね。


 ──ああ、せっかくのお気に入りの衣類だったのに、あなたの血で汚れてしまいました。

 ……あなたのような、実際に確かめにくるの、本当に困るんです。

 ひやひやするんですよ。

 こうやって僕のしたことが、バレるんじゃないかって。


 あっ。

 ちょうど午後0時ですね。

 ほら、見てください。

 死体が降ってきたでしょう?


 って、あれ?

 いないです。

 消えてしまいました。


 それどころか……。

 降ってきたの、あなたじゃないですか。



 そこからの眺めはどうですか?



END.
< 65 / 100 >

この作品をシェア

pagetop