ディスオーダー【短編集】
「コレね、無人島に転がっていた遺体の1人が持っていたカメラ!」

「どうしてそんなモノを持っているんだよ、お前」

「へへっ、細かい話はどうだっていいだろ!とにかく見てみようぜっ」


 さっそく、コウタはビデオカメラの再生ボタンを押した。

 次の瞬間、画面に撮影者が生きていた頃に録られていた場面が映し出される。

 「ここはどこだ?」とか、「アレはなんだ?」とか、いちいち独り言を発しているのがシュールで、笑えてくる。

 バカだな、この撮影者。そこは無人島なんだから、独り言を発したって誰も聞いちゃいないのに。


「ロザリンド……旅館?入ってみよう」


 画面は古びた旅館を映しだした。しっかし、こうして見ると本当に古いなぁ。見るからに誰もいないのに、誰かを求めて入っていくなんてバカだな。バカ。


「これは、なんだ?」


 画面はカウンターに置かれている黒いノートを映し出す。

 ああ、たしか……予約帳みたいなヤツだっけ?

 撮影者は次々とノートを開いていくが、ぜんぶ英語で読めないようだった。

 文章の最後に助けてって英語で書く始末。だからそれ、意味ないっての。
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