ディスオーダー【短編集】
 次は日本語で自分の状況を書いている。そこで場面は切り替わり、また自分の状況を書いている場面が映し出される。

 途中、ユミコという彼女らしき女の名前が書かれたのだが、確かこの女って交通事故で身体がバラバラになっても尚、生きていた女じゃなかったか?

 なんでも、バラバラになった身体の1つ1つに命が宿ったっていう……。

 ただの同名なのかもしれないが、仮に同一人物なのだとしたら、コウタの言った通り、本当に地球は狭いな。

 次の瞬間、画面が大きく揺れた。それを隣で見つめているコウタは言う。


「これ、俺が撮影者の頭を殴ったから揺れているの」

「……だろうな。そうだと思った」


 画面いっぱいにノイズが生じる。殴られた際にビデオカメラを床に落とし、壊れたんだろう。ビデオカメラはそこで終わった。


「んー!やっぱりいつ見ても面白いねぇ、コレ」

「そうか。俺は撮影者がバカだということ以外に笑えない」

「お前なぁ……。この無人島を用意したのもお前だし、人間をこの無人島に放り込んでいるのもお前なんだから、もっと楽しめよ」

「は?その放り込んだ人間を殺すのがお前の役割なんだろ?俺も殺したかったのに……つまらない」

「まぁまぁ、拗ねんなって。代わりといっちゃなんだけど、世界を爆破させるスイッチ……お前に押させただろ?」


 地球が滅んだ日を思い返す。
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