ディスオーダー【短編集】
 世界すべて、砂に埋もれたんだっけか。

 ゆっくりと見上げる。先程とまったく同じ青空が視界にうつる。

 ゆっくりと見下げる。ずっと前から変わらない、辺り一面の、砂。

 たしかに世界を爆破させるスイッチを押したのは俺だし、世界を殺したのも俺だ。

 だけど、やっぱり自分の手で直接人間を殺したかったのも事実。

 ……もう、叶わない願いだけど。


「見ろよ!生存者がいるぞ!」


 コウタに指を差されて見てみると、身体を布で覆った人間が砂地を歩いていた。

 俺達が背後から近付くと、その人間はぶつぶつと独り言を発しているようだった。


「――ねっ?一瞬で機嫌を取り戻す、……ん?自我が壊れる?んー、どっちでもいいか!どっちにしろ、サイコーにいいことでしょう?」

「……そうだね。これでこの無意味ながらに過酷な旅がやめられるね?」

「――永久に、眠れるね?」


 刹那、コウタは振り上げた鉄の棒で、さっきからずっと独り言を発している人間を殴り殺した。

 赤色の砂地が完成ってね。
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