眠り姫はひだまりで【番外編】
「………………」
僕はふと、公園を見渡した。
西日の差す時間帯に、色葉と笑ってアイスを食べて。
大切な、思い出。
僕と色葉だけの、思い出。
…それにゆっくりと、幕を下ろす。
僕はそっと、目をつむった。
「…町田さん」
静かに目を開けながら、いつの間にか鯉に餌を与え始めている町田さんに声を掛ける。
「はい?」
「…ありがと」
呟くように言うと、町田さんはこれ以上ないくらいに顔を明るくして、「いえ!いえ!このくらい!」とぶんぶんと首を横に振った。
その様子に、思わず笑う。
すると、彼女は大袈裟なほど「きゃーっ、笑ったぁ!」と騒ぎ始めた。
「………」
「ああっ、なんですぐ笑うのやめちゃうんですかぁ〜!」
…調子のられると、困るし。
未だに騒ぐ町田さんを横目に、僕は夕焼けに染まり始めた空を見上げた。
*
「ちよちゃんと付き合わねえの?」
いつの間に、『ちよちゃん』なんて呼ぶようになったのか。
柚木の言葉に、僕は飲んでいたペットボトル飲料を噴き出しそうになった。