眠り姫はひだまりで【番外編】
ああお腹すいたなぁとか、今日の弁当は何が入ってるのかなぁとか、そんなことを考えていたのだけれど。
…校舎の裏で、見えてしまった。
数人の女子に囲まれている、小さな、背中。
「……色葉!」
その場で呼ぶと、女子達の目が一斉に僕へと振り返ってきた。
「……大和」
囲まれている色葉は目を見開いて、僕を見ている。
女子達はチッと舌打ちすると、パタパタとその場から去って行った。
…やっぱり、こういうの、されてたんだな。
急いで色葉のもとへ駆け寄った。
「大丈夫?」
「…っえ、あ、うん!ありがとう」
彼女たちの後ろ姿を呆然と眺めていた色葉は、僕の声に慌てたように返事をした。
「…多いの?こういうこと」
訊くと、色葉は「そんなに頻繁にあるわけじゃないよ」と力なく笑う。
…それを見て、中学の頃を思い出した。
女子の先輩に囲まれて、悪口を言われて。
僕が『大丈夫か』と訊くと、色葉は『大丈夫』と笑うんだ。
…今、みたいに。
「…あの頃も、大和は助けてくれたよね」
その声にハッとして、色葉を見つめる。
…彼女は優しく、笑っていた。