眠り姫はひだまりで【番外編】
「…好きな人、ですか?」
「……うん」
「………………」
頼むから、そんな泣きそうな顔しないで。
…こっちまで、泣きたくなるだろ。
それきり黙った彼女に、僕はため息をついた。
「…ずっと、大切だったんだ」
目を見開いた彼女が、僕を見つめる。
僕はちらりとそちらを向いて、ふっと笑った。
「…いつまでも僕の隣で、泣いたり笑ったりしてくれたら、それだけでよかった」
ぽつり、ぽつりと。
誰にも言ったことのない気持ちを、吐露する。
「あの子が困ったときは、僕が助けてあげる。恋愛とか汚い感情とか全部、知らずに笑っててほしかった」
町田さんの瞳に、涙が浮かぶ。
…馬鹿みたいだ。
こんなの…馬鹿、みたいだ。
僕は夕焼けの赤を見つめて、言った。
「…けどやっぱり、どっかですれ違っちゃうんだよなぁ」
それは、環境の変化だったり。
人との出会いだったり、小さな愛のかけらだったり。
原因は、いくらでもあるけど。
人は強くなって、抱える想いも事情も変わっていく。