眠り姫はひだまりで【番外編】


色葉は僕に気づくと、「あ」と声を出す。

僕は軽く笑って、「何してんの」と声をかけた。

…教室内は、夕焼けで真っ赤だ。

一年のときの教室はそうでもなかったけれど、この本館にある教室は西日がよく差すから。

この時間帯はいつも、教室中が茜色に染まるのだ。


色葉は机に課題を広げて、「純くん待ってるの」と言った。

「…そっか」

教室へ入って、自分の机の上に置いた鞄を取ろうとする。

すると、近くから「大和」と控えめな声で呼ばれた。


「……ちょっと、お話出来ない?」


…話?

「…いいけど…」

…純が来たとき、誤解されかねないんじゃ。

僕は戸惑いながらも、色葉の前の席に座って、後ろを向いた。

「…どーしたの」

「…うん」

オレンジ色の西日が、色葉の頬を染める。

静かで穏やかな、優しい空間。



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