眠り姫はひだまりで【番外編】
もどかしさに唇を噛みながらも、彼のくすりとした笑みを思い浮かべていた。
*
「お菓子、作ろう」
色葉との帰り道、あたしは決意した。
台所を戦場に変えてしまうこのあたしが、甘ーい手作りお菓子を作ること。
そして、それを裕也くんに食べてもらうことを!
「いきなりどーしたの」
色葉がびっくりしたようにこっちを見る。
ケータイでレシピを検索しながら、あたしは「可愛らしい女の子と言えばお菓子作りでしょ」と言った。
「ちょうど明日から土日だし。月曜に渡せるように頑張るの」
「そ、そっか…えっと、私に何か手伝えることある?」
その言葉を待ってましたというように、あたしは目を輝かせて彼女を見た。
「あり。大ありよ!あたしひとりじゃ、マフィンが毒物になっちゃう」
毒物なんて…と色葉は言うけど、そんな比喩も過言ではないのだ。
あたしひとりでオーブンを使ったら、カップもろとも爆発するかもしれない。