眠り姫はひだまりで【番外編】
…強いて、言うならば。
彼に一度も『好き』だと言われていない、ことだ。
*
いや、まあ、あたしも言っていないんだけど。
ほら、近頃の若者って『好きじゃないけど付き合ってみる』みたいなことするじゃない?
実際、あたしもときどきそうあるし。
もし彼にとってそうだったら、なんて考えちゃうでしょ。
特に二組の男子なんて、ノリ軽いし。
遊びで〜なんて、考えてそう。
あれ?でも、水野くんの『好きになったら尽くすタイプ』っていう言葉に矛盾するわ。
なんてもやもやと考えながら、廊下を歩く。
お昼に豚キムチを食べたからか、甘いものを口にしたいなあと思って、自販機へ向かっているところ。
うーん、カフェオレとかがいいかな。
甘すぎるものは無理なのよね。
昇降口へ出て、自販機のある右側へ足を向ける。
けれど、自販機の前に見覚えのある人影が見えて、思わずそそくさと後ずさった。
…裕也くん!
裕也くんが、ふたりの男子と一緒に自販機の前で話をしている。