眠り姫はひだまりで【番外編】


沙奈江と呼ばれたその子は、今度こそしっかりと私を見た。

そして。


「……ね、そう思うよね?『今の彼女さん』」


目を、見開く。

それは、純くんも同じで。


「……色葉、いつから」

「ずーっと、いたよね?」


彼の顔の戸惑いが、強くなった。

そうして焦ったような表情で、口を開いて。

「……っ、いろ」

「今日は!」

その声を遮ったのは、私だった。

驚いて口を閉じた純くんに、俯きながら早口に唇を動かす。

「…今日は…ミオと、ご飯食べるから。あっちは、行かない」

声が、震える。

純くんが何も言えなくなったのを感じて、自分のせいなのに涙が出そうになった。

…あっち…旧校舎。

多分今日は、一緒に帰れない。

「…色葉っ」

戸惑った声を出すミオを引っ張って、私は二組の集団をかき分けて進んだ。



………『今の彼女』。

まるで、もうすぐ変わるみたいだ。



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