【短編】あなたの隣で目覚められたら。
とりあえず気持ちを落ち着かせたくて洗面所に行ったけれど、私はかえって冷静さを失ってしまった。
「…え?何これ?」
実際、何かは分かっている。
ただ、認めたくないのだ。
洗面所の鏡に映し出された自分の姿には、おびただしい数のキスマークが付いていた。
「うわ…首やば。」
あまりにもくっきりと付けられたそれらを思わずなぞってみるけれど、付けられた記憶は全く無かった。
…どれだけ酔っぱらってたんだ。
恐る恐る胸元を覗いてみると、
「うわっ…え?」
案の定キスマークだらけだった。
これだけのことをしておいて、なんであんなに平然としていられるのか、謎だ。謎すぎる。
うーんと、つまり、私は彼に上半身をじっくりと見られてしまったわけで…
あまりの衝撃に立ち尽くしていると、物音が聞こえた。
「香織さん、洗面所使っていい?って、どうしたんですか。顔怖いです。」
どうしたんですか。じゃないって。
どの面下げて言ってるんだこの子は。全く。