《完結》アーサ王子の君影草 上巻 ~忘れられた庭に咲く誓い~
今年も祝福の雨が降っている。と言う事はマルティーン帝国との関係は崩れていない筈。ふとメルティオールを思い出し、短く息を吐くも気持ちを切替える。
「それと丁度この日没前の夕陽に照らされて輝く祝福の雨を浴びると、一年間健康で居られるって…」
「それって今降ってる雨?」
「そう…。正に今だから幸運だったかな」
言いながらスズランと空を見上げる。
聳える山脈。その稜線に沈みゆく太陽。紺色と橙色の雲が織り成す空模様に、一粒一粒輝きながら落ちてくる祝福の雨。刹那的な美しさに今街に居る人々からも歓声が上がり、そして太陽が完全に山に隠れると同時に雨も上がる。
この国の民の、スズランの健康を切に祈った。
スズランは空の色が紺一色に変わっても暫く空を見上げていた。
「すごく綺麗……」
「俺も浴びたのは久しぶりだよ」
「ライアと二人で見れてうれしい!」
柔らかく笑うスズラン。この笑顔だけは曇らせたくない。固く拳を握り、心を決めたラインアーサ。
「……スズラン、俺…」
「あっ! あれってなんだろう?」
言いかけた所、急に賑わう屋台の方に興味を持つスズラン。手を繋いだまま駆け出したのでその方向へついて行く。
「それと丁度この日没前の夕陽に照らされて輝く祝福の雨を浴びると、一年間健康で居られるって…」
「それって今降ってる雨?」
「そう…。正に今だから幸運だったかな」
言いながらスズランと空を見上げる。
聳える山脈。その稜線に沈みゆく太陽。紺色と橙色の雲が織り成す空模様に、一粒一粒輝きながら落ちてくる祝福の雨。刹那的な美しさに今街に居る人々からも歓声が上がり、そして太陽が完全に山に隠れると同時に雨も上がる。
この国の民の、スズランの健康を切に祈った。
スズランは空の色が紺一色に変わっても暫く空を見上げていた。
「すごく綺麗……」
「俺も浴びたのは久しぶりだよ」
「ライアと二人で見れてうれしい!」
柔らかく笑うスズラン。この笑顔だけは曇らせたくない。固く拳を握り、心を決めたラインアーサ。
「……スズラン、俺…」
「あっ! あれってなんだろう?」
言いかけた所、急に賑わう屋台の方に興味を持つスズラン。手を繋いだまま駆け出したのでその方向へついて行く。