《完結》アーサ王子の君影草 上巻 ~忘れられた庭に咲く誓い~
「じゃあ二人で分けよう」
「うん…!」
注文後、果実茶を受け取る。広場に面した場所に屋台が出ていたのでそのまま広場中央の噴水でひと息つく事にした。二人で噴水の縁に座ると背中に伝わる流水音と冷たい空気が人混みの疲れを癒してくる。
「疲れてないか?」
「全然平気!」
「良かった」
蓋の付いたグラスを細い硝子の管でかき回すと、お茶が氷と果実を揺らし耳に心地の良い音色を奏でる。
「キラキラしてるね…」
「ん?」
「果実茶が今日のお祭りの街みたいにキラキラしてて本当に綺麗…。飲むのがもったいないくらい」
「収穫祭は年に一度だけど、果実茶はいつでも飲めるよ」
「……また一緒に来たいな」
「いつだって連れて来てやるよ! ほら、冷たくて美味いから飲んでみるといい」
「うん、ありがとうライア! いただきます」
また二人で街に来る口実が出来たと内心浮かれてしまう。しかし突然ガシャンと硝子の割れる音に次いで子供の泣き声が浮かれた気分を見事に掻き消した。
「う、うぇえええん! ままぁ!!」
小さな子供が人混みでつまづいたのか、転んで果実茶のグラスを落としてしまったらしい。
見る間にスズランが目の前で泣いているその女の子に駆け寄っていた。
「うん…!」
注文後、果実茶を受け取る。広場に面した場所に屋台が出ていたのでそのまま広場中央の噴水でひと息つく事にした。二人で噴水の縁に座ると背中に伝わる流水音と冷たい空気が人混みの疲れを癒してくる。
「疲れてないか?」
「全然平気!」
「良かった」
蓋の付いたグラスを細い硝子の管でかき回すと、お茶が氷と果実を揺らし耳に心地の良い音色を奏でる。
「キラキラしてるね…」
「ん?」
「果実茶が今日のお祭りの街みたいにキラキラしてて本当に綺麗…。飲むのがもったいないくらい」
「収穫祭は年に一度だけど、果実茶はいつでも飲めるよ」
「……また一緒に来たいな」
「いつだって連れて来てやるよ! ほら、冷たくて美味いから飲んでみるといい」
「うん、ありがとうライア! いただきます」
また二人で街に来る口実が出来たと内心浮かれてしまう。しかし突然ガシャンと硝子の割れる音に次いで子供の泣き声が浮かれた気分を見事に掻き消した。
「う、うぇえええん! ままぁ!!」
小さな子供が人混みでつまづいたのか、転んで果実茶のグラスを落としてしまったらしい。
見る間にスズランが目の前で泣いているその女の子に駆け寄っていた。