《完結》アーサ王子の君影草 上巻 ~忘れられた庭に咲く誓い~
「だいじょうぶ? あっ! 待って、割れたのに触ったら危ないよ」
「だってぇ……せっかくママにかってもらったのに……ふえぇ…っ」
「えっと、ママはどこ? えっ、ああっまって…、泣かないで……あ! ちょうどおんなじのあるの、ほら!」
「……いい。だってそれじゃあおねえちゃんのがなくなっちゃうもんっ…」
見た所傍に親が居ない。はぐれて迷子になったのか。スズランが必死にあやすものの女の子は今にも泣き出しそうだ。
「ここにもう一つあるから大丈夫だよ」
「……ライア!」
「…!? …っ…!」
二人の横に屈み、持っていたもう一つの果実茶を見せると女の子はラインアーサとスズランの顔を交互に見やる。驚き、見開かれた瞳。どうやら涙は引っ込んだ様だ。
「俺たちは半分こするから心配ないよ。な? スズラン」
「……で、でも」
「うん。わたしは平気だよ! それよりも転んだ所、ケガはない?」
大丈夫と頷く女の子を噴水の縁に座らせた。女の子の名はリタ。母親を見失い迷子になってしまったのと、先日五歳になったばかりなのだと教えてくれた。リタの前に屈み込み、木苺と桃の果実茶を手渡すスズラン。
「ありがとうおねえちゃん…!! これ、ほんとに飲んでもいいの?」
「どうぞ!」
待ちきれず果実茶に口をつけるリタ。
「だってぇ……せっかくママにかってもらったのに……ふえぇ…っ」
「えっと、ママはどこ? えっ、ああっまって…、泣かないで……あ! ちょうどおんなじのあるの、ほら!」
「……いい。だってそれじゃあおねえちゃんのがなくなっちゃうもんっ…」
見た所傍に親が居ない。はぐれて迷子になったのか。スズランが必死にあやすものの女の子は今にも泣き出しそうだ。
「ここにもう一つあるから大丈夫だよ」
「……ライア!」
「…!? …っ…!」
二人の横に屈み、持っていたもう一つの果実茶を見せると女の子はラインアーサとスズランの顔を交互に見やる。驚き、見開かれた瞳。どうやら涙は引っ込んだ様だ。
「俺たちは半分こするから心配ないよ。な? スズラン」
「……で、でも」
「うん。わたしは平気だよ! それよりも転んだ所、ケガはない?」
大丈夫と頷く女の子を噴水の縁に座らせた。女の子の名はリタ。母親を見失い迷子になってしまったのと、先日五歳になったばかりなのだと教えてくれた。リタの前に屈み込み、木苺と桃の果実茶を手渡すスズラン。
「ありがとうおねえちゃん…!! これ、ほんとに飲んでもいいの?」
「どうぞ!」
待ちきれず果実茶に口をつけるリタ。