俺しかいない
俺がその場を立ち去ろうと向きを変えようとした途中、
とんとんと誰かに肩を叩かれた。
「ん?」
「俺も一緒に探すわ」
肩を叩いたのは拓哉だった。
「サンキューな、
じゃあ、俺は向こうの方探すから
拓哉は港の方お願い」
そう言って俺は灯台のある方向へ走った。
夏の蒸し暑い風が体にまとわりつくように吹いている。
桜ちゃんどこ行ったんだ?
俺は足を速めた。
ふと波打ち際を見ると
桜ちゃんが二人の男に絡まれていた。
パーカーを脱いで、白くて細いうでをさらけ出している。
ほら見ろ、絡まれてんじゃん!
俺は桜ちゃんの方へ走って行った。