『華國ノ史』
 燃え続ける魔法都市を後に青年は今まで無い虚無感を感じていた。


 それは魔力の使いすぎから来る疲労のせいではなかった。


 今までの人生の中でも一番多くの時を過ごしてきたこの街。


 多くの思い出が詰まった笑うカピパラ寮。

 
 失った大切な友。

 
 面倒を見ていた後輩達。


 笑顔で話かけてくれた知人。


 物が溢れていた商店街。

 
 全てが灰に変わってゆく街を生き残った僅かな人々もまた、どうする事も出来ず見送っていた。


 目を覚まし、疲弊しきったウルブスがセブンに近づく。

ウルブス
「何百年と掛けて大きくなった魔法都市が一瞬で死の街に。

 セブン、これが戦争です。

 もはや大戦は避けられぬでしょう。

 バランスが大きく崩れました。

 あなたはどうします?」

セブン
「次は、次こそは守ってみせる」

ウルブス
「守るだけでは多くは守れませんよ」

セブン
「…終わらせる。

 人を殺すのは自分の心を切り裂いているみたいだけど…
 
 誰かがやらなくてはいけないのなら。

 僕がやらなくてはいけないんですよね?」

ウルブス
「決めるのは貴方だ。

 ただ、貴方ならその可能性を持っているでしょう。

 そして貴方は何よりも優しい、そんな貴方にこそ相応しいでしょう。

 この悲惨な争いに終止符を打つべき者は…

 しかし、苦しくなりますよ?

 体も、心も。
 
 今以上にね」

セブン
「とても…耐えられそうもない」

ウルブス
「そう1人では難しい。

 私の剣と、老い先短い命を貴方に預けましょう」

セブン「ウルブス…」

ミニッツ&セコンド「当然俺達も」

 始まりは四人、四人の深く傷ついた戦士達だった。



 


 
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